BEATOPIA

ストーリー

田舎町で暮らす高校生の悠と海、そして東京からやってきた大学生の凛。悠と海はそれぞれの生活でもどかしさを感じている。そんな 2 人は共通の趣味を通じて、少しずつ心を開いていく。一方凛は、夏休みの間田舎町でドキュメンタリーを撮っている。ある日悠と海に出会い、彼らにカメラを向け始める。 都会と田舎、家族と友達、夢と現実… 様々な壁の立ちはだかる少年少女の夏休み。

Cast & Staff

●出演

  • 佐久間悠
  • 黒さき海斗
  • 小川紗良
  • 麓俊浩
  • 中村栄子
  • 除川慶子
  • 小川すみれ

●スタッフ

  • 音楽監修・制作/E TICKET PRODUCTION
  • 主題歌/「 Style 」黒さき海斗
  • 撮影/平見優子
  • 照明/佐久間周平
  • 録音/浅井隆
  • ヘアメイク・衣装/小林夏帆
  • 助監督・空撮/川角崇成
  • 制作担当/佐藤瑛大
  • デザイン/李鍾民
  • 企画協力/直井卓俊
  • 協力/鹿児島県阿久根市
  • 製作/BEATOPIA 製作委員会
  • 監督・脚本・編集/小川紗良

監督の言葉

20 歳の時、母の故郷で映画を撮った。私にとって『 BEATOPIA 』は、鹿児島県阿久根市という田舎町で、若かりし母と20歳の私が出会う物語である。
母は高校 3 年生まで阿久根市の実家で過ごした。母の実家は水産業を営んでいて、小さい頃から家業を手伝っていたという。「早くこの田舎を抜け出したい」「東京に出て何かしたい」などと日々思いながら魚を干していたという話を、よく母から聞かされていた。
一方、私は東京で生まれ育った。なんでもあって、どこにでも行けて、継がなきゃいけない家業もない。友達と遊園地ではしゃぐこともできれば、人混みに紛れて孤独を想うこともできる。思いがけぬ出会いや異文化との接触が、いつもすぐそこにある。
もしも、人口 2 万人の田舎町で生きた高校生の母 と、 1300 万人の都会で生きる 20 歳の私が出会ったら、一体何が起きるだろう。映画というタイムマシーンに乗って、あの頃の母に会いに行ってみたい。『 BEATOPIA 』は、この発想から始まった。
物語の主人公は、田舎町で生きる高校生の悠と海。私は彼らに、かつての母の姿を託した。家業を手伝いながらも心に秘めたそれぞれの夢、都会への憧れ。その閉じた世界に秘められた若い野望を、ヒップホップに乗せた。そして私はカメラを持って、彼らの姿を追った。かつての母に出会い、問いかける気持ちで。
結局私の母は、東京へ出て、東京で家庭を築き、東京で暮らしている。さあ、悠と海はひと夏の出会いと葛藤を通して何を決断するのか。そして私は、何を想って東京に帰ろうか。掛け替えのないそれぞれの夏を、『 BEATOPIA 』というタイムカプセルにこめて。ほら、夏の音がきこえる。